武藤社会保険労務士事務所(京都市)のブログ

2008年05月02日

時間外労働と安全配慮義務違反

勤務中に脳内出血を起こし意識障害となったのは、異動後の12日間の長時間勤務による過労が原因として、大阪市内の元会社員の男性(33)と家族らが、大阪府門真市内の精密機器メーカーに約5億6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。田中敦裁判長は「長時間勤務の負担は大きく、会社は改善措置を講じなかった」として同社に約2億円の支払いを命じた。
過労については1~2カ月の長時間勤務で認定されるケースが多いが、12日の短期間で障害などとの因果関係や会社側の過失が認められるのは異例という。
判決によると、男性は平成10年に入社し、13年4月に情報システム課から生産企画課に異動。これまでの勤務時間は1日10時間前後だったが、異動後は14時間前後となり、連続勤務12日目に脳内出血などで倒れた。男性は現在も意識のない状態が続いている。
田中裁判長は異動後の勤務について「慣れない業務を担当し、経験の浅い男性にとって相当大きな負担となった」と判断。「(男性の上司は)勤務状況を十分に把握した上で、業務の負担を軽減すべき注意義務を負っていた」とした。

産経新聞 4月29日より


この大阪地裁のケースでは12日間で61時間の時間外労働があり会社が労働時間を正確に把握せず、長時間勤務の改善措置も講じずに放置したと安全配慮義務違反を認定しています。

時間外労働と脳出血などの脳血管疾患や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症などの健康障害のリスクとの関連は時間外労働が月に45時間を超えるとそのリスクが高まっていき月100時間または2~6ヶ月平均で80時間を超えたらそのリスクは非常に高いといえます。  


Posted by 武藤 崇(むとう たかし)  at 17:16Comments(0)労働保険